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共依存症とは? 〜恋愛がうまくいかない5つの原因と対処法〜

(最終更新日:2024.2.28)

🤔「もしかしたら自分は共依存症かもしれない。共依存症について、くわしく知りたい!」


そんな方向けの記事です。


👼 記事の解説者:満月(みつき)

元 恋愛依存症(共依存症+回避依存症)
脳のしくみや心理学を学び、恋愛依存症の克服・回避依存症の夫との関係を劇的に改善。

現在は「恋愛依存症・回避依存症の専門家」として活動。心理資格は5つ。

noteやX(Twitter)による発信活動、心理分析、心理療法によるカウンセリングサービスを提供。

Xの本アカ@loveshare0001
Xのサブアカ@loveshare0002

くわしいプロフィール


▼ 共依存症とは


共依存症とは、パートナーに必要とされることを過剰に求める依存症のこと。

共依存症者は、パートナーに必要とされることで自分の存在価値を見出していて、

ダメな人
繊細な人
問題を抱えるややこしい人
自分がいないと何もできないような人

に惹かれる傾向があります。


一昔前は"アルコール依存症"の夫(彼氏)に精神的に依存している妻(彼女)だけのことを「共依存症」と読んでいたのですが、現在は違います。

現在は、アルコール依存症者以外の対象に依存している場合も共依存症と呼ぶようになっています。


▼ 3つのタイプ診断チェックリスト


私は心理学を学び、共依存症者のカウンセリングをするなかで、共依存症であるご本人が"自覚している症状"が微妙に異なることに気づきました。

共依存症の症状は、大きく分けて3つのタイプに分類できます。

【 共依存症3つのタイプ 】
❶ 必要とされたいタイプ
❷ 助けたいタイプ(尽くしたいタイプ)
❸ コントロールしたいタイプ

同じ共依存症でも、1つのタイプだけの場合もあれば2〜3のすべてのタイプを併用されている方もいます。

あなたがどのタイプに当てはまっているかは、以下の診断チェックリストをご参考にしてみてください。

❶ 必要とされたいタイプ
= パートナーから必要とされることで心が満たされるタイプ

✔︎ 見捨てられる不安がある
✔︎ 1人が寂しくてたまらない
✔︎ 必要とされていないと不安になる
✔︎ 必要とされると充実感や高揚感が高まる
✔︎ 相手が自分を好きか気になって仕方ない
✔︎ 自分が相手を好きなだけでは意味がない
✔︎ 相手の気持ちや行動に振り回される(他人軸)

❷ 助けたいタイプ(尽くしたいタイプ)
= パートナーを助けたり、尽くすことで心が満たされるタイプ

✔︎ 自分よりも相手優先
✔︎ 気がつけばいつも尽くしている
✔︎ 自分の頼みごとはなかなか言えない
✔︎ 頼みごとをされるとつい喜んでしまう
✔︎ なぜかいつも不幸な人、繊細な人に惹かれる
✔︎ 気がつけばいつも誰かを助けている(支えている)
✔︎ 「あの人には私がいないとダメ」だと思ってしまう
✔︎ 気がつけば 「相手が喜びそうなこと」を考えている
✔︎ 相手の気持ちを敏感に察知し、先回りしてお世話をしたり尻拭いをせずにはいられない

❸ コントロールしたいタイプ
= パートナーを思いどおりにコントロールすることで心が満たされるタイプ

✔︎ 相手が予定が気になって仕方がない
✔︎ 自分の問題よりも相手の問題に目がいく
✔︎ ありのままの相手を認めることができない
✔︎ 相手の考え方や行動を注意、お説教してしまう
✔︎ なにかと相手をコントロールしようとしてしまう
✔︎ 相手よりも自分のほうが「正解」をわかっていると思う
✔︎ (相手のためにアドバイスをしてあげてるのに)自分のアドバイスを聞いてくれないと残念な気持ちになる、または腹が立つ

診断チェックリストは以上です。

あなたはどのタイプに当てはまっていましたか?


ちなみに、よくある恋愛コラムでは恋愛依存症者 = 共依存症者と説明されていることが多いですが、そんなことはありません。

実は、恋愛依存症者だけでなく回避依存症者も、共依存症の問題を抱えていると言われています。

私のカウンセリング経験では

恋愛依存症者
❶ 必要とされたいタイプ
❷ 助けたいタイプ

回避依存症者
恋愛初期 → ❷ 助けたいタイプ
中期以降 → ❸ コントロールしたいタイプ

上記のような症状を自覚されているクライアントが多かったです。


▼ すべての共依存症者に当てはまる5つの特徴

つぎに、すべての共依存症者に当てはまる5つの特徴をシェアしていきます。

❶ 自己肯定感が低い
❷ 自分と相手との境界線が引けない
❸ 自分の年齢相応の言動がとれない
❹ あるがままの現実を認めることができない
❺ 自分の欲求を素直に伝えることがむずかしい。そのうえ、自分で自分の欲求を満たすこともむずかしい。


❶ 自己肯定感が低い


自分の存在価値を認めることができない。
そのため恋愛以外の場面でも生きづらさを抱えている。

❷ 自分と相手との境界線が引けない


相手の問題を自分の問題にしたり、
自分の問題を相手の問題として考える。

▼ 境界線を引いていない例

■ 相手の機嫌が悪くなったときに「自分のせいだ」とか「なんとか機嫌を治してもらわないと」だと考える。

= これは相手の問題を自分の問題にしている状態


■ 自分の機嫌が悪くなったときに「相手のせいだ」とか「相手が機嫌をとってくるべきでしょ」だと考える。

= これは自分の問題を相手の問題にしている状態

▼ 境界線を引いている例

■ 相手の機嫌が悪くなったとしても「相手の機嫌は、本来は相手が解決するべき問題であり、私のせいではない。私が機嫌を治す必要はない。」と考えられる。

■ 自分の機嫌が悪くなったとしても「自分の機嫌は、本来は自分が解決するべき問題だから、相手が機嫌をとる必要はない。」と考えられる。


❸ 自分の年齢相応の言動がとれない

▼ 例 

■ まるで子どものように感情をコントロールできず、相手に感情をぶつけてしまう。

■ 仕事や家庭などの立場があるにもかかわらず、恋愛やギャンブル、アルコールなどに囚われ、自分の役割に対する責任がとれない。


❹ ありのままの現実を認めることができない

■ ありのままの自分を認めることができず、自分自身に 完璧や理想を押しつける。人間は不完全(ありのままの現実)ということを認めることができない。


■ ありのままの相手を認めることができず、相手に完璧や理想を押しつける。人間は不完全(ありのままの現実)ということを認めることができない。


■ 白黒思考で現実を捉えようとするため、曖昧な現実(ありのままの現実)を受け入れることができない。


■ 明らかに辛くて苦しい状況に直面したとしても 「この程度のことはよくあることで、たいした問題ではない」と考える。

辛くて苦しい状況(ありのままの現実)を「よくあることだから」と軽視し、現実逃避をする。

❺ 自分の欲求を素直に伝えることがむずかしい。そのうえ、自分の欲求を自分で満たすこともむずかしい。

パートナーに素直に「〜したい」「〜してほしい」などお願いをしたり甘えることがむずかしい。

そのうえ、自分の欲求を自分で満たすこともできないため、さんざん我慢したあげく自爆(相手に激しく感情をぶつける)することが多い。

▼ 共依存症者の恋愛がうまくいかない5つの原因

【 恋愛がうまくいかない5つの原因 】
❶ 精神疾患になりやすいから
❷ コントロール恋愛をしているから
❸ 自分や相手をハイヤーパワー化するから
❹ 相手との親密な関係の構築がむずかしいから
❺ 強烈なネガティブ感情"憤り"を抱えているから


❶ 精神疾患になりやすいから

共依存症に陥っている方は

さまざまな依存症や精神疾患

になりやすいと言われています。


共依存症者は、自分のことや他人のことを愛することもできません。

そのため、

現実世界 = 辛く苦しく、敵が多い世界☠️⚡️

と感じることが多いです。

とうぜん、そのような世界観で生き続けると多大なストレスに苛まれます。

そして、それらのストレスを解消するために

食事
お酒
恋愛
買い物
セックス
ギャンブル

など一瞬の刺激や快楽にハマり込むようになり、やめたくてもやめれない"依存症"まで悪化しやすくなります。


また、こういったストレス解消法はその場しのぎにすぎず、ストレスは溜まる一方になります。

人間は、ストレスが溜まると自律神経が乱れ、精神も不安定になり、精神疾患にもなりやすくなります。

依存症や精神疾患を抱えていると、恋愛(対人関係)もうまくいかなくなるのは言うまでもありません。

▼ 対処法
まずは依存症や精神疾患を改善することを目指すこと。



❷ コントロール恋愛をしているから


共依存症者は自己肯定感が低く、自分で自分の存在価値を認めることができないので、パートナーに必要とされることで自分の価値を高めようとします。

パートナーに必要とされること

に執着しているため、

相手が自分を必要としていないと感じたら、どうにかして必要とされようと必死に頑張ります。

しかし、実はそれは「なんとしても相手に自分を必要とさせる」という支配欲であり、相手をコントロールしようとしていることと同じになります。


また、先述した3つのタイプのうちのコントロールしたいタイプの共依存症者は、ありのままの相手を認めず、相手のことを自分の理想どおりにコントロールしようとします。(チェックリスト参照)

このような"コントロール恋愛"だと、ありのままの相手を受け入れることができないため、相手も居心地が悪くなります。

その居心地の悪さに限界となった相手はあなたから距離を置くようになる、逆にコントロール返しをしてくるなど、恋愛がうまくいかなくなります。

▼ 対処法
相手を自分の理想どおりにコントロールしようとするのではなく、ありのままの相手を受けいれる意識をすること。また、相手にそれほどの価値があるかどうかを考えること。


❸ 自分や相手をハイヤーパワー化するから


共依存症者(恋愛依存症者)と回避依存症者の恋愛初期では、この❸の傾向が特に強く出ます。

▼ ハイヤーパワーとは ▼
=心理学用語で、自分自身を超えた「偉大な力」のこと。

以下、具体的に解説します。

共依存症者のハイヤーパワー化は、

❶ 相手をハイヤーパワー化するパターン
→ 自分よりも"相手のほうに"偉大な力があると考えるタイプ

❷ 自分をハイヤーパワー化するパターン
→ 相手よりも"自分が"偉大な力になろうと考えるタイプ

この2つのタイプが存在します。


❶の相手をハイヤーパワー化するパターンは、恋愛依存症者によくある傾向です。


恋愛依存症者は恋愛初期に、パートナーのことを

✔︎ 能力や価値が高い存在
✔︎ 魅力のある理想的な存在
✔︎ 神様や王子様のような存在
✔︎ 自分の精神を安定させてくれる存在
✔︎ 苦しい現実を生きるための活力的な存在

などなど、パートナーに対して非現実的な理想化(ハイヤーパワー化)をする傾向があります。


非現実的な理想化をすると、それと比例してパートナーへの期待も高まります。

それが過度な期待となり、過度であるがゆえに"期待を裏切られた"と感じることも多くなります。

なぜなら、恋愛関係が長くなればなるほど「ちっとも偉大ではない一面(相手の素の部分や欠点)」が必ず見えてくるからです。

パートナーのちっとも偉大ではない一面を見てしまった恋愛依存症者は

嫌な気持ち
残念な気持ち
期待外れな気持ち
裏切られた気持ち
釣った魚に餌をやらない感覚

などを感じ、恋愛がうまくいかなくなります。

このように、相手をハイヤーパワー化(非現実的な理想化)すると、結果的にその理想が崩れたときの落差が大きくなるため、恋愛がうまくいかなくなります。


つぎに、❷の自分をハイヤーパワー化するパターンは回避依存症者によくある傾向です。

回避依存症者の場合は恋愛初期に、意識的または無意識的に"非現実的な理想(ハイヤーパワー)の自分"を装います。

✔︎ 能力や価値が高い存在になろうとする
✔︎ 魅力のある理想的な存在になろうとする
✔︎ 神様や王子様のような存在になろうとする
✔︎ 自分の精神を安定させてくれる存在になろうとする
✔︎ 苦しい現実を生きるための活力的な存在になろうとする


しかし、これはありのままの自分ではなく理想的な自分を演じている状態。


だんだんパートナーの期待に答えることが

疲れる
嫌になる
重くなる
だるくなる
しんどくなる
面倒くさくなる

ので、たいていは途中でやめて、相手と距離を置くようになります。

回避依存症者の態度があまりにも大きく変わるので、相手は「どうして変わっちゃったの?」と不安になったり、不満に思います。

すると、相手から依存されたり、不満をぶつけられることにつながります。

このように、自分をハイヤーパワー化(非現実的な理想化)すると、その非現実的な理想の自分を装いきれず、結果的に相手に依存されたり不満をぶつけられたりするため、恋愛がうまくいかなくなります。

▼ 対処法
自分や相手は"偉大な力"など持っていないことを素直に認め、ハイヤーパワー化するのをやめる意識を持つこと。


❹ パートナーとの親密な関係を築けないから

共依存症になると、パートナーと親密な関係を築けません。

▼ 親密な関係の意味とは

■ この先、良いことや悪いことがあっても何があってもなんとかなると思える関係。

 = 自分自身や相手のことを信頼している状態

■ ありのままの自分やありのままの相手を認めている関係。

= 自分自身や相手を肯定している状態

■ 自分一人でも幸せだけど、あえて二人で幸せを共に感じ、さらに協力して増やしたいと思える関係。

= 自分自身や相手に健全に依存している状態

このような関係性を、共依存症者は構築することができません。

なぜなら、そもそも共依存症者が自分自身との親密な関係を築けていないからです。


あかの他人と親密な関係を築くためには、まず何よりも先に自分自身との親密な関係を築いている必要があります。

自分自身とすら親密な関係を築けない人間が、あかの他人と親密な関係を築くことなんてできないからです。

自分自身との親密な関係が築けていない → 独りでは不安なので、相手と親密な関係になろうと求める → 結局その相手とも親密な関係になれない

これが共依存症者によくある、恋愛がうまくいかない流れです。

逆に、恋愛がうまくいく流れは

自分自身と親密な関係を築く → ひとりでも安心するけど、さらなる幸せのために相手と親密な関係を築こうとする → 相手とも当たり前のように親密な関係を築ける

上記のような流れです。

恋愛をうまくいかせるためには、まずは自分自身と親密な関係を築くことが大切になります。

▼ 対処法
いきなり相手と親密な関係を築こうとするのではなく、まずは自分自身と親密な関係を築くこと。




❺ 強烈なネガティブ感情"憤り"を抱えているから


共依存症者は恋愛で傷ついたり不快になることがあると、「憤り」という感情が湧きやすい傾向があります。(多くは幼少期の体験が原因になっています)

憤りとは、

怒りや憎しみ、恨み、悲しみ、復讐心、執着、嫉妬などのネガティブな感情が混ざりあった、とてつもなく強烈な負の感情

のことです。

巷では「頭に血がのぼってカッとなる」と表現されることが多いですね。憤りには"怒りの感情をも超える破壊力"を秘めています。


この憤りが湧くと、相手に感情をぶつけてしまいやすくなります。

そのときは頭に血がのぼったような状態になっていますから、つい感情をぶつけてしまいますが、あとあと冷静になってから反省することも少なくありません。

共依存症者は相手に感情をぶつけてしまったことが原因で、嫌われたり距離を置かれることも多く、恋愛がうまくいかなくなります。

▼ 対処法
憤りに振り回されないような、感情をコントロールする術を模索し、身につけること。


▼ 共依存症者が恋愛をうまくいかせるための対処法まとめ



■ まずは依存症や精神疾患を改善することを目指すこと。


■ 相手を自分の理想どおりにコントロールしようとするのではなく、ありのままの相手を受けいれる意識をすること。また、相手にそれほどの価値があるかどうかを考えること。


■ 自分や相手は"偉大な力"など持っていないことを素直に認めること。自分や相手をハイヤーパワー化(非現実的な理想化)するのをやめる意識を持つこと。

■ いきなり相手と親密な関係を築こうとするのではなく、まずは自分自身と親密な関係を築くこと。

■ 憤りに振り回されないような、感情をコントロールする術を模索し、身につけること。